おっさん二人東京湾一周日帰り温泉の旅200kmロングライド【後編 金谷~船橋(感動のゴール)】

2015年06月11日

■金谷~木更津
さて、おっさん二人は希望に胸を膨らませ千葉への第一歩を踏み出しました。

まて、朝千葉を出てきたばかりじゃん。細かい事は置いておいてまずは昼飯。当初7km程南に下
った”ばんや”へ行く予定でしたが暑さのあまりあのお店の山盛りの食事を食べに往復15kmはきつい。ばんやは車で来た時にお邪魔するとして今回は金谷のフェリー乗り場へ隣接した”the Fish”へ。海を見ながらのランチはとても贅沢な気分にさせてくれます。

私はかき揚げ丼を注文。よくよくメニューを見直すと金目鯛の煮つけご膳が・・・しくじった。キンメ食いたい。そうこうしているうちにかき揚げ丼が出てきました。うわぁ、すげーボリューム。キンメ食べたいけどこれから85kmも走るのでがっつり頂きますよ。一眠りとランチを頂いた私たちは元気に房総の大地を駆け抜けるのでした。
房総の海沿いの一本道を走っていると青い海、青空、道の脇の草、風、鳥の鳴き声全てが五感に響いてきます。本当に気持ちがいい。東京湾が一望できる海沿いには豪勢な邸宅が並んでいます。別荘でしょうか。今振り返ってもこの道を走っている時間が旅一番の贅沢な気分でした。エンジンは付いていませんが気分はすっかり猪八戒を忘れ片岡義男のバイク小説の主人公です。そう、ボビーです。通じるのは40代以上ですね(笑)

フェリーを乗り終え、ばんやをパスしたボビー達に時間の縛りはありません。ふと海に降りてみたくなりウィンカーを出し、アクセルを戻しエンジンの回転数を・・・もとい、手信号で停止の合図を出し、ペダルの回転数を落として道の脇にチャリンコを停止します。フルフェイスのヘルメットから長く伸びた髪を・・・もういいか。自転車を引いて細い道を抜けると小さい浜辺が広がっています。気軽にこんな寄り道ができるのも自転車ならではでしょうか。誰もいない浜辺で海と戯れていると現実を忘れます。そう、中年二人ではしゃいでいる事ですら。

楽しい時間も程ほどに私たちは先に進まなければなりません。再びバイクにまたがり木更津の温泉施設を目指します。ずーっと一本道、出る看板は直線木更津ばかり。電子地図を確認しながら走っていたもののひたすら真っ直ぐ進めば木更津に着けるので地図を確認する必要もないと地図から速度、距離などの走行データに切り替えて走っていました。暫くすると上り基調となっている事に気が付きます。ひたすら上り。比較的平坦が予想される海沿いの道を選んだはずなのにおかしい・・・休憩地点のコンビニで地図を確認すると、あー痛恨のミス。君津市に入った辺りで海沿いと山道に分かれていました。T君に申し訳ない。素直に謝ろう。「ごめん、道を間違えて山道に入っちゃった。」T君は「ホントだ。でもこっちの道の方が近いじゃん。」さすが元学級委員長、清掃委員の私なら「バカ野郎、2ケツしてでも俺を山頂まで運べ!」とモップで叩いてるとこでした。既に100km以上走り30度の炎天下の苦しい時間帯の中、私を気遣ってくれました。汗を拭うふりをして涙を拭いて再出発です。しばらく頑張って上っていると下り基調にかわってきました。待ちに待った下り坂です。風が気持ちいい。計画通りの追い風の中景色がだんだん街らしくなってきて遂に温泉施設に到着しました。体力的にも先の温泉施設を目指そうかという話もでましたが体力に余裕がある状態で休憩した方が回復も早いと判断し「湯の郷かずさ」で休憩しました。こちらでは入浴後、畳の上で1時間半も休ませてもらいました。後で思えば靴を脱いで足を伸ばして休む事は体力回復に大きな役割を果たしたのかなと思います。計画通りです。残り54km!

■木更津~船橋(感動のゴール)
18時15分。出発から14時間が経過しました。温泉施設を後にした私たちは次の目標を千葉市内に定めます。こまめに目標を設定する事は気持ちをきらさない為にも大事な事です。信号待ちをしているT君を見ると夕日で温泉に入ってツルツルになった顔がテカっています。その顔は冗談抜きに爽やかそうで安心しました。そうこの時完走できると確信したのです。とはいえまだ残り50km以上。千葉市街に入るには京葉工業地域に沿って永遠と単調な景色の直線が続く国道16号が待ち構えています。最初車道を走行していたのですが、路肩が殆どない上、大型車が多いので路面が荒れています。暗くなってきているので車道の走行は危険と判断し歩道を走行する事にしました。歩道に上がってみて広くて余りの走りやすさに「これ、歩道じゃないだろ。自転車道か?」と呟いてました。そりゃそうだ。何十キロ歩いても住宅もお店もない工場ばかりのこの道を歩く人なんかいるわけない。自転車でもかなりの時間がかかるのに。数十キロの間、実際工場から出てくる数人が道を横切るだけで道に沿って歩いている人には出会わなかったな。最初から上がっておけば良かった。

長い直線を走り終え最後の休憩地点、蘇我駅そばのショッピングモール「アリオ」へ。ここでは肉を食べました。とにかく肉の気分でしたね。あとソフトクリーム。やけに美味しかった。この旅中は甘いものは全てアイス系で摂りました。パピコ半分、いちごかき氷半分、練乳かき氷半分、ソフトクリーム。長い運動で疲れているとこれらの食べ物がエネルギーとなる事が実感できます。本当に身体が動くようになるのです。
さて、のこり25km、千葉ポートタワーから先は庭のようなものです。車が少なく道幅の広い海沿いの道を選択します。しかしこれが最後の試練を与えます。かなりの逆風です。先頭を走り続けた脚にはかなり堪えます。一生懸命漕いでも20kmも出ません。後ろのT君、鼻歌を歌ってます。初ロングの最後に余裕かよ(笑)ちょっと言い訳をしますと自転車で先頭を引っ張るのは風の影響をもろに受けるので体力的にキツいのです。特に今回のような強風の日の向い風はずっと坂道を上っているような感じです。最後まで先頭を走ると決めていた私が朝の強風に固まったのはそれなのです。

幕張メッセを抜け、イオンモールを抜け、やっとでららぽーとへたどり着きました。海から離れ最後の6kmは感動のウイニングランです。ゆっくり走ります。10時23分ほぼ予定通りの時間に到着しました。T君との感動の抱擁をしようか、ハイタッチをしようかと考えていると「お疲れ~。ありがとう楽しかった。」とひと仕事終えたサラリーマンのようにスポーツバイクをママチャリに乗り換え颯爽と去って行くT君なのでした。でも自転車で長い距離を走って「こんな所まできちゃったよ」「すごいねー」と喜んでくれたり道やフェリーの時間を間違えても怒りもしないで逆に勇気づけてくれたT君には感謝してます。パピコも半分くれたし。

■総括
題名に書いた200kmには届きませんでしたが1日で東京湾をぐるりと走り切る事ができました。私一人だと無理してしまって達成出来なかったかもしれません。初ロングライドのT君がいてくれたおかげで休憩やペース配分を守った事によって達成できたのだと思います。疲労も思ったより少なくペースさえ守っていれば体力のある若い方はもっと余裕で走り切れると思います。そして何より誇れる事は信号無視なし、後方確認、手信号を怠らずに達成した事です。信号待ちの精神的ストレス、ストップ&ゴーによる肉体的疲労はあるかもしれません。実際走ってみて信号待ちをしているとすぐ横を勢いよく走り抜ける自転車や無視してぶつかりそうになっている自転車、逆走してくる自転車が沢山いました。交通ルールを守る事、自分の動作を後続の車や自転車に伝える事は安全走行の基本です。皆様も是非交通安全には気を付けてサイクリングを楽しんでください。信号待ちではオートバイで停止された方が「自転車でどこまでいくの?」『東京湾一周です。』「え?2,3日掛けて?」『いや、日帰りで』「えぇ~、頑張ってね」という励ましの言葉も頂きました。こんなのも信号できちんと停まったからこその思い出のひとつです。

■東京サイクリングツアー&レンタサイクル版おじさんでもロングライドを成功させる秘訣
1.行程を作る
 予め行程表を作りましょう。時間は余裕をもってください。信号、風の影響により思い通りに進まない事が予想されます。
2.決まった距離で休憩をとる
 疲労に関係なく休憩をとりましょう。この休憩が後半のがんばりに効いてきます。
3.信号待ちの有効利用
 マッサージや屈伸などのチャンスです。
4.暑さ寒さ対策
 どちらも体力を消耗します。服装、休憩は適切に行ってください。
5.不測の事態に備える
 故障、体調不良など様々な不測の事態に対処できるようにしておいてください。
6.諦めるのも勇気
 長い時間頑張ってきて諦めるのは勇気がいる事です。でもこの言葉を念頭に頑張っていると心に余裕ができるものです。
7.自転車の選択
 東京サイクリングツアー&レンタサイクルの自転車はあなたの頼もしいロングライドのバディです。ご利用をお待ちしております!

■記録
走行距離:187.51km
経過時間:18時間07分49秒
平均気温:22.8度
最低気温:17.0度
最高気温:32.0度